ついにやってきました!
約2年ぶりとなるフルアルバムの完成です!オリジナルアルバムとしては8枚目。
ATOLS/MIKUシリーズとしては5枚目です。
今回のアルバムは、今までとは趣向が変わった一枚となっています。
ジャケットの盆栽風ロゴが指し示すように、「盆栽=私的趣味」のような意味合いがあるのではないかと。いわゆる自らが丹精こめて手を加えて仕上げたものを自宅の縁側に飾って眺めるような、ATOLSのプライベートなものを写し取った作品かと思われます。
最近、新しい音楽ジャンルもさほど生まれず、Spotifyのようなストリーミング音楽配信サービスによって、新しさも過去のものも全て同時並列される世の中になり、そういった中で「その先」もしくは「その次」を提示することがだんだん難しくなってきている状況で、ATOLS的に悩みに悩んだニューアルバムだったのではないかと思います。
そこで、「次」というより、「今」をフォーカスした音作りに着手し、日本の停滞と閉塞をダイレクトに表現した「常世」から始まり、現在の流行をそのまま曲にした「ミント」など、一つ一つ自分と現実と向き合いつつ仕上げていったとてもプライベートな一枚なのではないかと感じました。
音的に見ても、ダブステップをよりフロア向けにマッシュアップさせた「マカロン(ATOLS Remix)」、ヴェイパーウェイブ的なテイストを取り入れた「薄明の空」、ドラムンベースを基調とした最もATOLSらしいアレンジが光る「アリス(ATOLS Remix)」など、ダンス、エレクトロニカなどのEDMに対してのATOLSなりの解釈が最新のものとして提示されていますし、また、ニコニコ動画初期投稿作品「ハジマリノコトバ」「おーばーどーず」などの収録により、ストリーミング配信の配置のように、最新と最も古いものが同時に提示され、ニューアルバムでありながらさらに過去にもさかのぼれる仕組みになっているところなど、今起きていることと、感じていることがダイレクトに反映しているように思えます。
そして、過去の楽曲「アワオドリ」に見られた日本の民謡を思わせる和風EDMを、また違ったテイストで推し進めた「ドンガラシャン」「万象突破」などで、自ら実験的に打ち立てたジャンルに対しても最新バージョンを提示しており、平成最後のATOLS/MIKUとして、これまでの音楽シーンの総括的な意味と、そこに自らにおいのて「ATOLSらしさ」と「オリジナリティーとは?」という自問自答に対して、飾り立てず、虚勢を張らずストレートに向き合ったのがこのアルバムなのかと。
様々な葛藤や迷いゆえに、2年という月日が費やされたのではないかと想像します。
それゆえに、ATOLSと言うパーソナリティーが最も色濃く出た作品になっているとも思います。
そして、日本語ソングとしての自覚としての、曲のタイトル、テイストなどにも散見されているところにも、ジャッケットの意味につながるのかな、とも感じます。
サビに安易に英語を入れない、抽象的な英語のタイトルが少ないのもATOLSの日本人アーティストとしての強いこだわりに感じてとても素晴らしいと思います。
今回は過去にあった革新性や斬新さはありませんが、海外に出しても恥じない音の完成度と、日本発EDMとしての一つの素晴らしいサンプルケースとして、初音ミクを知らない人達にも触れてほしい一枚だと強く思います。
ATOLSが歩んできた10数年の結晶が美しい盆栽のように並ぶこのアルバムが、ジャンルを超えて世界に広がって行くことを望みます。
最後に「ミント」は「マカロン」に対するセルフオマージュとして作られましたが、なぜタイトルが「チョコミント」ではなく「ミント」だったのかと考えましたが、これはマカロンの「M」からミントの「M」への移り変わりを示しているのかなと感じました。
平成が終わり、次の年号に移り変わるように、さらに次の次元へと進もうとするATOLSの次なるMIKUシリーズにも期待せざるを得ません。
1. 常世
2. ミント
3. リアリティーのダンス
4. マカロン (ATOLS Remix)
5. ハジマリノコトバ
6. おーばーどーず
7. Future Weapon(New mix)
8. 薄明の空
9. ドンガラシャン
10. アリス (ATOLS Remix)
11. 万象突破
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